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2022.3.31

2022/03/31 輝く子どもたち特集⑥

~2021年度 学園だより 9月号より~

『おすすめの本教えて!』   小室 麻友(1.2.3年 読書担当)

読書の授業では、必ず本の貸し出しの時間を設けています。1年生から既に、だいたいの棚の配置は覚え、好みの本は自分で探せるようになっています。その中でときどき「先生のおすすめの本教えて!」と言ってきてくれる子がいます。もちろん色々な本の紹介はしますが、最終的に選ぶのは子ども自身で、好きなものを尊重することが大事。とも思うので、嬉しい瞬間です。

着任当初、かつて出版社で営業をしていた私は本の知識はあったので、おすすめの本を子どもたちに次々紹介していましたが、響かなかった経験があります。人に本をすすめる、すすめられるには、本を知っていることよりも、その人のことを知っていることが大切だったのです。そこからは知っている限りのその子の個性を思い浮かべ、1冊を厳選して渡すようになりました。「面白かったよ!」なんて言われると、この仕事をしていて良かったと思う瞬間です。

ところが…どうしてもかなわない相手がいます。子どもです。友だちが教えてくれる本は、教師の推薦とは違う魅力があります。子ども同士が面白いと思った本について話している場面に、教師の存在は不要です。(知りたいのでこっそり聞いていますが!)それだけでなく、授業で本の紹介をし合ったあとに、友だちが紹介した本を借りる子の多いこと。「ん?それ、先生も前に紹介したけど…」とモヤモヤしますが、私がおすすめした場合と“あの子が面白いって言った”本は響き方が全然違うのでしょう。

くやしいけど、毎日一緒に生活している性格も好みも分かり合っている友だちのおすすめには、時々会う図書室の先生はかなわないのです。世間で人気のある本とは別で、なぜ今この本が?という、ここだけの流行が生まれることがあります。きっと、誰かが友だちに話してくれて、広めてくれたのでしょうね。

2・3年生の夏休みの宿題は毎年、読んだ本を紹介するポスター作りです。授業で発表した後は、廊下に、紹介したその本と一緒に展示します。ここからまた、国立学園独自の流行が生まれることを楽しみにしています。

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