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2022.3.30

2022/03/30 輝く子どもたち特集③

~2021年度 学園だより 6月号より~

『感謝する心』   江橋 直治(2年桜組担任)

算数の授業での出来事です。

問題を早く解き終えた人がミニ先生となり、友だちにやり方を教えていました。「密にならないように気をつけて。なるべく小さい声で話してね」と声をかけ、子どもたちの様子をしばらく見守ることにしました。教えてもらっている子は、忘れっぽい性格で計算が苦手。図をかくのも少し面倒くさがるようなところがあります。ところが様子を見ていると、いつもと違って真剣に取り組んでいるではありませんか。何度も何度も繰り返し説明してくれるミニ先生。友だちに教えてもらうことで、やる気が出たのかもしれません。時間いっぱいまで取り組ませ、そろそろ終わりの合図を出そうとしたとき、突然「あ!分かったかも!」という声が聞こえてきました。どうやら問題が解けたようです。二人とも嬉しそうな顔をしていました。

すると、「有り難う!」と先に言ったのは、教えていたミニ先生の方でした。理由を聞いてみると、「何度も説明して自分の方が勉強になったし、分かったって言ってもらえて嬉しかったから。」とニコニコしながら答えてくれました。それを聞いて、教わっていた方も「何言ってるの。たくさん教えてもらったのは私の方だよ。こっちが有り難うだよ。」と、何ともさわやかな二人のやりとりでした。

どんな小さなことに対しても「ありがとう」と喜びを感じられる子は本当に幸せそうに見えますが、一方で何に対しても満足せず、つねに不平不満を口にする子はあまり幸せそうには見えません。まさに「幸、不幸は考え方しだい」です。何が自分にとってありがたいことなのか、誰が自分を支えてくれているのかを「見る目・感じる心・考える力」を養うことが大切です。子どもが気づいていない部分は大人が教えていかなくてはなりません。

誰かがやってくれることに慣れてしまい、それが当たり前になっていては、「見る目・感じる心・考える力」は育ちません。大人が安易に手を貸さず、自分のことは自分でさせるようにすることも大事です。また、「ありがとう」は「有り難い」からくる言葉で、当たり前ではないことに感謝する言葉です。どんな小さなことに対しても、「ありがとう」と感謝して生活できる子に育てていきたいですよね。

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