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2021.3.27

2021/03/27 輝く子どもたち特集①

春休み特別企画として、今年度の学園だよりに掲載された「輝く子どもたち」の記事を載せていきます。写真は最近の学園の様子です。春を感じつつ、今年度の「輝く子どもたち」を振り返っていきたいと思います。

~2020年度 学園だより4月号より~

『見守る桜とともに』  酒井 満希子

日本中で桜の名所は数々あれど、国立学園の桜が一番美しいと本気で思っている。

小校庭の桜はそれはみごとで、いつまでも眺めていられる。桜の下でブランコをこぐ子どもたちの笑顔は、それはそれは画になる。体育館前の桜も然り。校舎に囲まれてひっそり佇んでいるが、渡り廊下の途中で、花吹雪が子どもたちと遊んでくれる。花びらを追いかける姿がたまらない。始業式に校歌の指揮をすると、懸命に歌う子どもたちの後ろ、大きな窓越しにその美しい枝ぶりが覗く。学園全員の子どもたちの笑顔と桜を楽しめる最高の瞬間、何という贅沢なひとときだろう。

朝礼台の後ろの桜は一番遅くまで美しい色合いを保っている。どんなに早く開花しても、何とか新入生を待ってくれて、集合写真に写るピカピカの子どもたちを包んでくれる。

日本一の桜は、花びらが散り、鮮やかな緑の枝に変わってからも子どもたちのすがたを見守ってくれているに違いない。休み時間に校庭で元気に遊んだり、授業で仲間とがんばっている時も応援してくれている。1年生を連れて校庭の遊具の使い方を一生懸命に教えている2年生が、ちょっとお兄さんやお姉さんになっていくのを見るのもうれしいと思う。教室だって見渡せるから、こっそりへこんでいる子がいたら心配している。でも、仲間が気づいて声をかけてくれた時はほっとしているだろうな。体育館の桜は、自分の下を走っていく子どもたちを案じているかもしれない。「危ないよ。」と声をかけたくてたまらない気持ちを想像してしまう。早く安心させてあげたい。

こうして、一年中子どもたちの傍らにいてくれる学園の桜なのである。

そして、2020年の春がやってきた。今年も樹々たちは、一年間見守り続けた子どもたちを花いっぱいに迎える準備をしてくれていた。気持ちが強すぎて早く咲いてしまっても、ずっと待ち続けてくれていた。

桜と子どもたちが出会うことのできない、初めての春。予測もしないできごとに怯え、振り回される私たちを、散りかけた桜たちはどのように眺めているのだろうか。今を冷静に見つめ、子どもたちに何を伝え、導いていくのかが試されているのだと思う。今までの日常がどれほど恵まれていたのかに感謝して、乗り越えていかなければならない。

とにもかくにも、桜に負けないくらい、子どもたちに早く会いたいと願っている。

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